生命保険とは、被保険者(=保険の対象者、すなわち保険がかけられている人)が亡くなり、残された家族の生活を守るための保険である。その「残された家族の生活」には、葬儀代から始まり、これから必要になるであろう毎月の食費、衣服費、居住費、光熱費、交際費、交通費、更には子どもの学校、習い事などの教育費までがかかる。一家の働き手が亡くなり収入が途絶えてしまえば、その後の毎月の生活費は誰かがカバーしなくてはならない。これとは別に、アメリカでは貯蓄・投資の目的で加入する人も多い。ここでは金融商品としても注目されるアメリカの生命保険について、その利点や代表的な生命保険の種類などを紹介する。
アメリカの生命保険の利点
アメリカの生命保険は、「支払う保険料は日本よりも安く、受け取るお金は日本よりも増える」ということが一番の利点である。同じ保障内容の日本の保険と比べると、保険料は日本の約半分となる。また積立利率(※)が大きく違い、日本の保険の標準利率は0%以下なのに対し、アメリカの保険の利率は2.5%以上。この圧倒的な利率の高さが貯蓄を増やす理由となる。さらに加入できるのは在米中の間のみとなるが、日本への帰国後も契約は継続でき、保険金の受け取りも可能となる。
積立利率とは-----------------
積立利率とは、保険会社が保険金を支払うために積み立てている保険料の一部に対して、適用される金利のこと。保険会社は、契約者から受け取った保険料から手数料などを差し引いた残りの部分に対して積立利率を適用し、その金利で運用する。
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生命保険の種類
生命保険を大きく分類すると、「定期保険」と「終身保険」の2つに分けられる。
■定期保険
定期保険とは、加入してから10年、20年などのある一定期間のみ保障される生命保険のことで、90歳、100歳まで続けられる保険はほぼない。一定の保証期間が終わると、また同じ保障期間で身体の診査無く継続も可能だが、保険料はその時点で再計算されるため高くなる。保険料は終身保険に比べて安く、小さな子供を持つ責任世代や、住宅ローンがあったり、ある一定期間だけの保障が欲しい人に向いている。保証期間の途中で解約をしたり、保証期間が終わってもまだ生存されている場合は、それまで支払ってきた保険料はほぼ返ってこない。
■終身保険
終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯保障が続く生命保険。保険料は、10年、20年などと予め支払期間を設定することができ、支払いを終えた後もずっと保障が続く。定期保険に比べて保険料は高いが、保証期間の途中で解約をする場合、契約者(=保険料の支払いをした人)にお金が戻ってくることがある。このお金のことを解約返戻金と呼ぶ。どれくらいの割合が戻ってくるかについては、加入期間や終身保険のタイプにより異なるが、この性質を利用して、学資の積立などにも利用される。
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■日本とアメリカの積立利率の違い
終身保険(積立型)の一般的な例
Whole Life(債券型)
2.5%〜3.25%
Index Universal Life(S&P500)
0%〜12%
日本の積立保険
0%
※積立利率は保険会社により異なる
※出所:「Insurance110」ウエブサイト
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積立型の終身保険は、「保障」と「貯蓄」の両方を兼ね備えた保険であり、一生涯死亡保険を持ち続けたい、または有利にお金を貯めていきたいという人に勧められる。加入後に、途中で解約をする場合は、その期間とそれまでの積立利率に応じて解約返戻金を受け取ることができる。
運用方法や積立利率は、各保険会社で異なるが、アメリカの終身保険の場合、大きく以下の3タイプに分けられる。
1. 終身保険(Whole Life Insurance)
基本的に定額の保険料を一定年数払い込み、死亡保障が一生涯続く貯蓄型のプラン。払い込み金額から保険料が差し引かれた金額がキャッシュバリュー(積立金)として口座に積み立てられる。最低保証の金利が設定されており、死亡時には保障額が支払われる。多少保険料が高くても、安心確実な保証を持ちたい人に向いている。
2. 変額終身保険(Variable Life Insurance)
様々に変化するライフスタイルに合わせて、保険料や受け取る保険金をフレキシブルに変更可能な変動金利型のプラン。契約者自身が運用する株式市場を選択できるため、保険金に変動が生じる。積立金の元金保証はない。
3. インデックス連動型終身保険
(Index Universal Life Insurance)
アメリカの株価に連動して利息が付くインデックス連動型のプラン。利率に上限が設定されている商品が多い代わりに、株価がマイナスになった時にも最低利息の保障がある固定金利型と変動金利型の良い点を併せ持つ保険。
様々な選択肢の中からどのプランを選ぶべきかは、年齢、目的、健康状態、希望保障金額、支払い可能な保険料の金額等、様々な要素の組み合わせとなる。しっかりと自分にあったプランを見極め、いいと思うプランに出合ったら同じ内容の商品を別の保険会社とも比較検討して条件の良いものを選ぶようにしよう。
協力:insurance110
日本と比べて複雑な医療保険。中でも読者の居住するCA州を例にとって、日本との違い、保険内容、2014年に施行されたオバマケアについて説明しよう。
日本の医療保険との相違点
国民健康保険のように国の制度として提供されている医療保険は、Medicare A&B(65歳以上の市民・永住権保持者用)とMedical(低所得者用)の2つがある。その他の市民は国営の医療保険が提供されないため、勤務先の会社を通し提供されるグループ医療保険に加入するか、個人用の医療保険に加入することになる。しかし、これらの医療保険会社は国営ではないため、加入者の審査を行い保険料を自動車保険などの損害補償保険と同様にリスク度で判断している。従って、医療費が最初から高額になると予想される持病持ちの者や、保険の使用頻度の高い加入者は保険会社にとって損失が出るために、1歳までの新生児や、65歳に近い高齢者の保険料を高く設定している。特に世界でも医療保険制度の良い国で育った日本国民にとっては信じられないことだが、民営だということを理解してほしい。例えば、被保険者が毎月300ドルの保険料を支払い、国から補助を受けられない民営の保険会社が3000ドルの医療費を医療機関に毎月支払うようでは会社が経営できないためである。
更に医療費が日本とは異なり、法外と言うほど高額である。例えば日本では2000円で受けられるような検査が、アメリカでは100倍の2000ドルかかることもある。風邪が治らないので、医者とアポを取り、たった10分間の問診で抗生物質を処方してもらっただけで、200ドル位かかるほどだ。従って保険会社はリスク回避のため、高額な医療費の出費を防ぐため、独自のネットワークを作って医者や医療機関を傘下に入れ、医療費をお互いに交渉し、高額な医療費を請求できないようにしている。
保険内容
(Office Visit, Annual Deductible, Co-Insurance, Out of Pocket Maximum)
日本では保険を使った場合、医療費の何割かを負担するのが一般的だが、アメリカでは医者との検診をOffice Visitと言い、検診費用(10~40ドル)が決まっている。安いプランに加入すると、Office Visitは保険対象外か年に2~3回までと制限があり、高いプランほど検診回数に制限がなく検診費用も安くなる。検診といっても問診に近く、医者からの助言や手法によっての検査だけであり、レントゲン、MRI、CT Scanなど医療器具を使用しての検査は対象外である。
Annual Deductibleと言い、加入日から数え年間の免責(保険の効かない最初の自己負担額)がある。良いプランほど、Annual Deductibleが低くなるが毎月の保険料は高額になる。これはOffice Visitとは対象外で、医療器具を使用しての検査費用・治療費用・入院費用などが対象になる。この額を満たした後に、Co-insurance(日本で言う何割負担)があり、それが20%であれば、Annual Deductibleを充たした後の自己負担額は2割になる。
更にOut of Pocket Maximumというのがあり、自己負担額に上限がある。Annual Deductibleを満たした後、Co-insuranceを払い続け年間でこの上限を満たすと、被保険者はそれ以上の支払い義務がなくなる。日本の医療保険と異なり良いのは50万ドル以上の高額な手術費用を請求された場合、その2割を負担するのではなく、Out of Pocket Maximum(プランにより3000~7000ドル/1人)の額を負担すればよい。
オバマケア
2014年1月1日より施行された通称「オバマケア」。アメリカで試みられているユニバーサルヘルスケア制度への取り組みだ。2018年、2019年とトランプ大統領が廃止を試みたが施行されず、今年は継続されることになり、今後はどうなるか未定。主に大きな項目を説明する。
1. 既往症と病歴を理由に保険会社は、加入を拒否できない。その影響で保険会社は
加入時から保険料よりも高い医療費の支払いを強いられるため保険料が上がった。
2. 市民・永住者(ある特定の者を除く)は医療保険の加入が強制される。どの医療保険でも
良い訳ではなく、国の指定する一定条件を満たした保険に加入する必要がある。加入し
ない者は、タックスリターン時に罰金を支払う。しかし、2019年度から罰金制度は廃止
された(2018年内、無保険だった者は罰金の対象である)。
3. 保険加入はいつでも出来るわけではなく、法で定められた期間内でしか加入できない。
特例もあり、以下の理由で余儀なく加入済みの保険を失った場合は加入が可能である。
レイオフにより雇用主から提供されている保険を失った場合、州を隔てた引っ越し
(日本からの赴任)、子供が26歳に満たした場合は家族の保険から外される、離婚により
配偶者との保険を失った場合や新生児など。
4. 一世帯辺りの取得年収に応じて、金銭的援助が受けられる。CA州では保険会社に直接申
請するのではなくCovered Californiaというオンラインの保険取引所を通して
申請する必要がある。
情報提供:有澤保険事務所
訴訟の国アメリカ。事故が起こってしまった後に後悔することのないように、保険の内容を理解して加入したい。また、信頼できる保険エージェントと相談して保険内容を決めることも有効だろう。自動車保険の種類について知っておこう。
対人賠償責任保険 BI (Bodily Injury)
運転者の過失による事故で他人に怪我、死亡させてしまった際の損害額、法的費用のカバー。補償額が250/500とあれば、相手側へ1人250,000ドル、1事故あたり(複数の相手)500,000ドルが上限で支払われる。カリフォルニア州では1人15,000ドル、1事故30,000ドルの補償の加入が義務付けられている。しかしながら、医療費が高額であること、訴訟を起こされることを考えると、できるだけ高額の補償をかけておきたい。特に、被害者に弁護士がついた場合、家を失うというケースも起こり得るため、住宅所有者は充分注意して補償金額を決めること。賠償責任の補償を厚くしたい場合、「アンブレラ保険」という保険があるので保険代理店に相談するとよい。また、対人賠償保険の対象はあくまで「他人」であり、被保険者は対象にはならないことに注意しよう。
対物賠償責任保険 PD (Property Damage)
運転者の過失による事故で他人の物(車、家、塀など)に損害を与えた場合の補償。カリフォルニア州の義務は1事故あたり5,000ドル。高級車に当ててしまった、複数の車を巻き込んでしまった、などという場合、この補償金額では全く足りないので、しっかりした補償をかけること。
搭乗者医療保険 Medical
誰の過失であるかにかかわらず、自分側の搭乗者が怪我をした場合の医療費が支払われる。この保険は自損事故、相手の過失による事故の両方に適応され、対象者は運転手だけでなく、友人など同乗者全員となる。不運にも死亡者が出た場合、葬儀代も加入の保障金額まで支払われる。
無保険者傷害保険 UM,UMPD
(Uninsured Motorist, Unuinsured Motorist Property Dameges)
保険無加入の車に当てられた際の自分側の怪我、車の修理代を補償する保険。万一、相手の過失で被害を受けても、相手が保険に入っていなければ泣き寝入りとなってしまう。相手を訴えようとしても、相手に支払い能力がなければ、取り立てるのは不可能。そういった多くの無保険者の存在が問題となっているカリフォルニア。自分の身を守るために、この保険にも加入しておきたい。
衝突、転覆車両保険 Collision
衝突、転覆による自分の車へのダメージの支払い。自損事故によるダメージや駐車場での当て逃げ、衝突による事故などに対してカバーされる。設定した免責(Deductible)分を自己負担した後、修理代が支払われる。廃車の場合はその時の車の価値から免責額を除いた分を補償する。通常、その車の市場価値以上修理代がかかる場合、廃車になる。
総合車両保険 Comprehensive、Other than Collision、Non-Collision
Collision以外での自分の車へのダメージ(盗難、落下物、いたずら)などを補償する。Collision同様、設定した免責分を自己負担する。また、車の中にある物が盗まれても通常自動車保険ではカバーされないので注意。
その他のオプション
Towing Road Service
事故、バッテリーが上がったなどで
けん引が必要な場合のサービス
Rental Car
Collision、Comprehensiveのクレームにおいて
車の修理中の間のレンタカー費用
事故にあってしまったら
The National Highway Traffic Safety Administration (NHTSA)のデータによると、2016年度ポリスに報告された事故が7,277,000件。ポリスに報告されていない事故が多々あることを考えると、自分が事故と無縁とは言えない。異国の地で事故に遭い、戸惑うことも多いだろう。まずは、落ち着くこと。そして、「安全なところに停車する」「負傷者がいたら911に連絡」などは基本だが、覚えておきたい事故の際に役立つ注意事項を挙げておこう。
ライセンスプレート番号を控える
できればライセンスプレートの写真を撮ろう。当て逃げは頻繁に発生しており、一度停止してエンジンを止めた途端に逃げられるパターンもある。相手がわからなければ、泣き寝入りするしかない。ライセンスプレートの番号さえ控えていれば、警察が相手を突き止めてくれる可能性もある。相手の保険会社へ請求や、相手が無保険者であれば自分の無保険者保険で怪我や修理代が補償される可能性が高い。
目撃者の確認
その場で過ちを認めていた相手も、後になって全く違った話をして最終的に自分が加害者にされてしまうというケースもある。周囲に目撃者がいれば名前と電話番号を聞き、後で何かあったら協力を要請したい。自分の車に乗っていた家族や友人は通常目撃者としてみなされない。
相手の情報は必ず自分で控える
事故の際の確認事項は、相手の名前、住所、電話番号、運転免許番号、保険会社名、保険番号など。どんなに相手が良い人のように見えても、必ず自分で実際の免許証、保険証を確認して、全ての情報を書き写すこと。全くでたらめな情報を渡されないよう注意しよう。電話番号は自宅、携帯、会社などできるだけ多く聞き出し、その場で実際にその番号にかけて正しい番号なのか確認するのも有効である。
警察を呼ぶ
通常アメリカでは負傷者がいる事故や飲酒運転などでないと警察に電話をしても来てもらえないことが多々ある。相手があまりにも非協力であったり、免許、保険を所持していない場合、後で大変なことになりかねないので、状況を説明してなるべく警察に来てもらうこと。
DMVに事故報告する
加害者、被害者に関わらず、人身事故または物損が1000ドル以上になる事故は10日以内に「Traffic Accident Report (SR 1)」を記入しDMVに送付しなければならない。これを怠ると、被害者であっても運転免許停止になる恐れがあるので注意。用紙はDMVのウェブサイトからダウンロードできる。
事故の報告に必要な情報
■相手の名前、住所、電話番号(家、携帯、会社)、免許証番号
■相手の車の年式、種類、色、ライセンスプレート番号、
VIN番号、所有者の名前
■相手の保険会社名、保険番号、被保険者名、電話番号
■事故発生日時、場所(町、道の名前)
■目撃者の名前、住所、電話番号
■Police Reportがある場合、所轄の警察、Report番号、
担当警察官の名前
情報提供:Kawaguchi Insurance Agency
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