Takara Sake USA Inc.

President / CEO

藤原 徳久 氏

京都・伏見で創業以来170年以上の歴史を誇る老舗であり「松竹梅」などでおなじみの宝酒造。その米国法人として、米国産の米と水を使用した酒造りに取り組み続けるTakaraSakeUSAInc.の社長・藤原徳久氏に、日本や米国におけるSAKE業界の現状や同社の取り組みなどを伺った。

 

伸び悩む日本での消費と、米国での立ち位置

 まず日本における状況ですが、酒類全体の消費量は1996年がピークで、高齢化や若者の酒離れなどに伴い減少し続けています。清酒消費量については1973年がピークで、現在はその3分の1以下まで減少しています。そのため、清酒の全酒類におけるシェアも1970年頃は30%以上あったわけですが、今現在は6%程度となっています。参考までにワイン消費量は増加傾向にあり、そのシェアは4%を超えてきましたので、清酒とワインの消費量の差は以前ほど大きくない状況です。日本での消費量が伸びないため、各社海外に目を向けており、政府などの後押しもあり、清酒の輸出数量はこの10年で約2倍に成長しました。輸出先の筆頭は米国です。

 米国においては、酒類の消費量は約3300万キロリットルと言われています。そのうちワインは約330万キロリットル、清酒は約2万5000キロリットル程度(うち日本からの輸入が約6000キロリットル)と、清酒の消費量はワインの1%にも満たない状況です。清酒の消費は増えていますが、多くを日本食レストランに頼っているのが現状です。日本食は全世界ではブームが続いているものの、米国での日本食レストランは直近ではあまり増えていない状況で、清酒業界はその影響をもろに受け、伸びは鈍化していると思います。また、増えている日本食レストランの内訳を見るとラーメン店などが多く、清酒がそこまで飲まれにくい状況であったりもします。さらに、日本から活路を求めて各社が米国展開をしていく中、米国内での競争も厳しくなりつつあるのが現状です。

 

SAKE全体の成長を考える

 思ったよりも厳しくなっている米国市場ですが、そういった中、清酒を成長させるためには、ラーメン店のような業態であっても手軽に飲んでいただける「MIO」(スパークリング清酒)のような製品も充実させる、日本食に限らず米国系の店舗にも積極的に営業していくことなどを考える必要があります。例えばスポーツバーで49ersを応援しながら、人々が「MIO」飲む光景を見てみたいものです。そういったことは、米国の人々に清酒の良さを地道に訴求し続け、馴染んでもらうことで可能になっていくと思います。業界としてすべきことは、他社との競合もある中で、会社や業界の枠を超え、皆で一体になって清酒を米国の人に知ってもらう努力をすることです。合わせる料理や美味しくなる飲み方なども訴求していき、清酒全体を伸ばし、市場のパイを増やしていくことが重要になります。実際、色々な枠組みの中でイベントやセミナーを開催するなど米国でSAKEを広める活動をしています。また、自社でできる啓蒙活動として、SAKEファン、TAKARAファンをもっと増やしていけるように、テイスティングルームでの活動により力を入れて、3年で来客数を1.5倍にするという目標を掲げています。

 

品質管理・訴求・新製品開発を地道に行う

 もちろん社内ですべきことも沢山あります。弊社が誇れることのひとつは品質管理にあります。温めても冷やしても味がブレず、ムラなく高品質を保った製品を提供することで、取引先の信頼を得ています。そういう強みも活かしながら、新製品の開発にも注力していきます。伝統ある製品を大切にしつつも、米国ならではの自由な発想で、新しいものを生み出す努力を行なっています。また、日本食だけでなく、多彩な国の食事に清酒をどう合わせていくかを考えて提案しています。さらには、飲むお酒だけでなく、料理酒や加工食品の原材料として使われるように幅を広げていくことが、米国での食文化をより豊かにすることにつながり、また、清酒の成長が日本食ブームに依存しているという現状を打破できる鍵になると思います。原材料として使われるためには、さらなる品質管理が重要になります。そういう意味でも、品質管理と訴求、新製品の開発をきっちりと地道に行うことが大切だと思っています。

 SAKEのよいところは、受け入れられる温度帯が広く、色々な温度で楽しめるところです。熱燗、温燗、冷とそれぞれに全く違う味わいがあり、ひとつのお酒で色々楽しめることも、米国に住む多くの人に知ってもらいたいですね。

 

 

 

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Takara Sake USA Inc.

President / CEO

藤原 徳久 氏

京都・伏見で創業以来170年以上の歴史を誇る老舗であり「松竹梅」などでおなじみの宝酒造。その米国法人として、米国産の米と水を使用した酒造りに取り組み続けるTakaraSakeUSAInc.の社長・藤原徳久氏に、日本や米国におけるSAKE業界の現状や同社の取り組みなどを伺った。

 

伸び悩む日本での消費と、

米国での立ち位置

 まず日本における状況ですが、酒類全体の消費量は1996年がピークで、高齢化や若者の酒離れなどに伴い減少し続けています。清酒消費量については1973年がピークで、現在はその3分の1以下まで減少しています。そのため、清酒の全酒類におけるシェアも1970年頃は30%以上あったわけですが、今現在は6%程度となっています。参考までにワイン消費量は増加傾向にあり、そのシェアは4%を超えてきましたので、清酒とワインの消費量の差は以前ほど大きくない状況です。日本での消費量が伸びないため、各社海外に目を向けており、政府などの後押しもあり、清酒の輸出数量はこの10年で約2倍に成長しました。輸出先の筆頭は米国です。

 米国においては、酒類の消費量は約3300万キロリットルと言われています。そのうちワインは約330万キロリットル、清酒は約2万5000キロリットル程度(うち日本からの輸入が約6000キロリットル)と、清酒の消費量はワインの1%にも満たない状況です。清酒の消費は増えていますが、多くを日本食レストランに頼っているのが現状です。日本食は全世界ではブームが続いているものの、米国での日本食レストランは直近ではあまり増えていない状況で、清酒業界はその影響をもろに受け、伸びは鈍化していると思います。また、増えている日本食レストランの内訳を見るとラーメン店などが多く、清酒がそこまで飲まれにくい状況であったりもします。さらに、日本から活路を求めて各社が米国展開をしていく中、米国内での競争も厳しくなりつつあるのが現状です。

 

SAKE全体の成長を考える

 思ったよりも厳しくなっている米国市場ですが、そういった中、清酒を成長させるためには、ラーメン店のような業態であっても手軽に飲んでいただける「MIO」(スパークリング清酒)のような製品も充実させる、日本食に限らず米国系の店舗にも積極的に営業していくことなどを考える必要があります。例えばスポーツバーで49ersを応援しながら、人々が「MIO」飲む光景を見てみたいものです。そういったことは、米国の人々に清酒の良さを地道に訴求し続け、馴染んでもらうことで可能になっていくと思います。業界としてすべきことは、他社との競合もある中で、会社や業界の枠を超え、皆で一体になって清酒を米国の人に知ってもらう努力をすることです。合わせる料理や美味しくなる飲み方なども訴求していき、清酒全体を伸ばし、市場のパイを増やしていくことが重要になります。実際、色々な枠組みの中でイベントやセミナーを開催するなど米国でSAKEを広める活動をしています。また、自社でできる啓蒙活動として、SAKEファン、TAKARAファンをもっと増やしていけるように、テイスティングルームでの活動により力を入れて、3年で来客数を1.5倍にするという目標を掲げています。

 

品質管理・訴求・新製品開発を地道に行う

 もちろん社内ですべきことも沢山あります。弊社が誇れることのひとつは品質管理にあります。温めても冷やしても味がブレず、ムラなく高品質を保った製品を提供することで、取引先の信頼を得ています。そういう強みも活かしながら、新製品の開発にも注力していきます。伝統ある製品を大切にしつつも、米国ならではの自由な発想で、新しいものを生み出す努力を行なっています。また、日本食だけでなく、多彩な国の食事に清酒をどう合わせていくかを考えて提案しています。さらには、飲むお酒だけでなく、料理酒や加工食品の原材料として使われるように幅を広げていくことが、米国での食文化をより豊かにすることにつながり、また、清酒の成長が日本食ブームに依存しているという現状を打破できる鍵になると思います。原材料として使われるためには、さらなる品質管理が重要になります。そういう意味でも、品質管理と訴求、新製品の開発をきっちりと地道に行うことが大切だと思っています。

 SAKEのよいところは、受け入れられる温度帯が広く、色々な温度で楽しめるところです。熱燗、温燗、冷とそれぞれに全く違う味わいがあり、ひとつのお酒で色々楽しめることも、米国に住む多くの人に知ってもらいたいですね。